交通事故の示談交渉で失敗しないために!
知っておくべき保険の裏情報
交通事故によって被害者が受けた損害は、加害者から被害者に支払われる損害賠償金で補償されます。通常、示談交渉によってその賠償額は決められ、支払われることになります。慰謝料については、治療費などの具体的にかかる費用とは異なり、実際の金額として把握することは困難です。交渉によって慰謝料は変わってくると考えて間違いありません。ここでは、交通事故が起こった際に支払われる損害賠償についての基礎的な知識を紹介するとともに、慰謝料の増額につながる要素について解説していきます。
交通事故の損害賠償は示談交渉が一般的
交通事故ではほとんど相手がいる
日本の2017年の交通事故発生件数は、警察庁のまとめによると47万2,165件となっています。そのうちのほとんどは相手がいる事故で、交通事故全体の95%以上を占めています。発生件数では人対車両が5万756件、車両同士が40万8,812件です。単独事故は全体の5%にも満たないのが現状です。
民事上の責任を問う示談交渉
交通事故を引き起こした加害者には、「刑事上の責任」「行政上の責任」「民事上の責任」が発生します。被害者が加害者の責任を追求できるのは、3つの責任のうち民事上の責任のみです。加害者は被害者に対して、民事上の責任として損害賠償を支払うことになります。これは民法に規定されている条文を根拠として、故意や過失によって他人の権利や法律上保護される利益に対して損害を与えた場合に、その損害を賠償する責任があるとされているからです。
交通事故の損害賠償では、加害者と被害者が示談交渉を行って賠償額を決めるのが一般的といえます。示談交渉とは、争いごとについて裁判といった表沙汰になるような方法を取ることなく、双方による話し合いによって決着を図る手続きです。加害者が保険に加入している場合は、加害者が加入している保険会社が示談交渉を担当することになります。
慰謝料と損害賠償は違うの?交通事故の4つの損害
交通事故で支払われるものに慰謝料があります。実は慰謝料と損害賠償はイコールではありません。正確には、損害賠償の中に慰謝料が含まれていることになります。交通事故の損害賠償は4つの損害に分類して考えることが可能です。「積極損害」「消極損害」「物損」「慰謝料」の4つです。
積極損害とは?
積極損害は、けがの治療費や入通院費のほか、被害者が死亡した場合には葬儀費用など、事故によって実際かかった費用としての損害です。交通事故に遭遇したことで被害者が出費せざるを得なくなった実際の損害で、請求できる損害はおおよそ決められています。具体的には、手術費用や付添介護料、マッサージ費、車いす購入代金などです。
消極損害とは?
消極損害は、交通事故に遭ってなければ得られたであろう利益を失ったことによる損害です。積極損害のように交通事故で実際支払うことになった費用ではありません。被害者が仕事を休んだことで失った休業損害や、けがによってそれまでと同じように働けなくなった場合の逸失利益などを指します。
物損とは?
交通事故に伴って損壊した物に対して支払われるのが物損です。被害者が交通事故に遭った際に乗っていた自動車や自転車、所持していたスマートフォンなど、事故によって壊れた場合にその修繕費や買い替え費用に当てることになります。自動車の場合では、買い替えた場合の差額や代車を借りた際の費用、自動車の中に積んでいた積み荷の損害などが物損の対象です。
慰謝料とは?
慰謝料は、交通事故で被害者が受けた肉体的・精神的苦痛に対して支払われるものです。ほかの3つの損害とは性質が異なり、目に見えて損害を把握できるものではありません。積極損害であれば実際の治療費をもとに損害を把握できますし、物損であれば「どんなものが壊れたのか」を確かめて買い替え費用などを知ることができます。しかし、慰謝料が対象とするのは被害者が感じた苦痛のため、目に見える形で損害を把握することはできません。そのため、示談交渉によって大きく金額が異なる可能性が出てきます。しかも、交通事故の損害賠償額の中で最も比率が高いこともあり、示談交渉でしっかり請求すべき損害です。
慰謝料には3種類ある
損害賠償の一つとして数えられる慰謝料は、さらに「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つに分けられます。
入通院慰謝料とは?
交通事故によって入院や通院を強いられた場合に、被害者が被った肉体的・精神的な苦痛に対して支払われます。入通院に対して支払われるものとしては、入通院慰謝料のほかに積極損害がありますが、積極損害はあくまで具体的にかかった入通院費用です。一方、入通院慰謝料は入通院したことで受けた肉体的・精神的苦痛を対象としています。
後遺障害慰謝料とは?
交通事故で受けた後遺症に対して支払われる慰謝料が後遺障害慰謝料です。後遺症とは、交通事故を原因とするけがなどによって、身体に残ってしまった機能障害や神経症状などを指します。後遺症が出ると、交通事故後の生活に大きな支障をきたすことになり、生活の質が大きく害されます。その肉体的・精神的苦痛に対して支払うものです。後遺症には慢性的なしびれから、手足が動かなくなるまで、幅広い症状があるため、後遺障害の認定には等級が設けられています。
死亡慰謝料とは?
被害者が死亡したことで受けた肉体的・精神的な苦痛に対する慰謝料が死亡慰謝料です。死亡慰謝料は亡くなった本人への慰謝料と遺族への慰謝料とに分けられます。亡くなった本人に変わって、遺族が慰謝料を請求し受け取ることになります。
慰謝料は増額できる?慰謝料を決める3つの基準
慰謝料の算定は3つの基準に基づいて行われます。1つ目は自動車の保有者であれば強制的に入ることになる「自賠責保険に基づく基準」です。2つ目は自動車の保有者が保険会社の自動車保険に任意に加入する「任意保険に基づく基準」、3つ目は弁護士が裁判で争うときに提示する「弁護士基準」になります。
自賠責保険基準とは?
自動車を運転する人が強制的に入る自賠責保険は、事故が発生した際にまず支払われる保険です。加入せずに無保険で自動車を運転することは違法となっています。自賠責保険は交通事故による被害者を救済する目的から、加害者が負うべき経済的な負担を補填する仕組みです。物損事故は補償の対象とはならず、対人への賠償を基本とします。自賠責保険基準は事故が起きた際の最も基本的な補償のため、3つの基準の中では最も補償額が低く算定される基準です。
任意保険基準とは?
自賠責保険でカバーしきれない損害を補償するのが任意保険です。自賠責保険には限度額が設けられています。傷害による損害では、治療関係費や休業損害、文書料、慰謝料を合わせて被害者1人あたり120万円までです。また、後遺障害による損害については4,000万円まで、死亡については3,000万円までとされています。しかし、実際の損害賠償では億単位の額になることもあり、自賠責保険だけではカバーしきれません。そこで、自賠責保険よりも補償額が高く算定されるのが任意保険基準です。保険会社によって算定基準が異なり、公開もされていないこともあって、算定が把握しづらい基準といえます。
弁護士基準とは?
3つの基準の中で最も高い補償額が算定される基準が弁護士基準です。交通事故裁判における判例をもとに作られている基準で、新しく判例が出るたびに計算方法や金額が変わるのが特徴といえます。判例で示された事故と同じような状況の事故であれば、その判例と同等の補償額が導き出され、3つの基準の中で最も高い補償額が算定されます。
慰謝料の増額につながる要素
慰謝料の算定は3つの基準に基づいて行われ、その算定額は自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の順で高くなる傾向にあります。それでは慰謝料の増額につながる要素としていくつか紹介します。
算定方法を弁護士基準に近づける
保険会社などから提示される補償額は弁護士基準より低めに算定されていることが多く、自賠責基準より少し多めとなるのが一般的です。保険会社に勤めていたり、交通事故について勉強していたりすることがない限り、慰謝料の算定基準についての知識がないため、加害者側が強気の交渉に出てくるからです。保険会社が提示してきた慰謝料が低い印象がある場合には、交通事故の慰謝料についての知識があることをアピールし、弁護士基準に近づけるようにしましょう。どういった基準でその額を提示してきたのか聞いてみたり、弁護士基準よりずいぶん低い額であることを指摘してみたりすることで、慰謝料の増額へと示談交渉が進む可能性があります。
過失割合を下げる
被害者側にも過失がある場合、加害者の過失割合が低くなり、結果的に慰謝料が低くなってしまいます。保険会社から提示された慰謝料の算定で、過失割合に納得ができない場合は、判例を調べてどういった判例から決定したのか聞いてみましょう。判例を調べるにあたっては、判例タイムズ社が発行する「交通事故判例タイムズ」などが参考になります。
後遺障害の等級認定を受けられないか検討する
後遺障害の等級認定を受けられるかどうかで慰謝料の額は変わってきます。適正に慰謝料を受け取るためには、必ず等級認定が必要です。交通事故以後に後遺症と思われる症状が出てきた場合には必ず認定を受けるようにしましょう。保険会社との交渉前に認定を受けておかないと、後遺症はないものとして保険会社は交渉してきます。また、認定等級によって慰謝料の額は違ってくるため、等級に納得がいかない場合には異議申し立てしましょう。異議申し立ての際には、不足している情報を新たに示す必要があるなど、専門的な知識が必要になるため、専門家に相談する方が安心といえるでしょう。
慰謝料は交渉次第で増額できる
交通事故は誰にでも起こりうる出来事です。いつ加害者になっても、被害者になってもおかしくありません。被害者になった場合には、加害者側との示談交渉があります。保険会社から提示された慰謝料が、3つの基準のうちどの基準で、「どういった根拠のもとに算定されたものなのか」についてよく吟味しましょう。交渉の結果によっては、数十万円から数百万円の違いが出てくる場合があります。交通事故に遭って被害を受けただけでも大変なストレスですが、しっかりと損害賠償を受けられるように示談交渉は慎重に行うことが必要です。
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